タブレットの競争激化 アマゾンが新「キンドル・ファイア」
アマゾンは白黒の電子ペーパーを搭載した電子書籍端末「キンドル」に加えて、カラー液晶を採用したタブレット「キンドル・ファイア」を2011年から米国で販売している。6日に米ロサンゼルスでジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が記者会見し、キンドル・ファイアの新製品を発表した。
主力機種「キンドル・ファイアHD」の画面の大きさは現行機種と同じ7型だが、新たにハイビジョン画質の動画を再生できる高精細な液晶を採用した。内蔵メモリーの容量も従来の2倍の16ギガ(ギガは10億)バイトとして多くの雑誌や映画などのコンテンツを保存できる。一方、価格は199ドル(約1万5700円)に据え置いた。
8.9型の画面を搭載したキンドル・ファイアHDや、高速携帯電話サービス「LTE」を使ってコンテンツを取り込める最上位機種(499ドルから)も追加する。現行機種は159ドルに値下げして販売を続ける。同日から米国で予約受け付けを始め、9月14日から順次出荷する。現行機種と同様、日本での展開については未定。
記者会見でベゾスCEOは「昨年は特定の価格帯(低価格帯)のタブレットで一番になったが、今年はすべての価格帯でトップを目指す」と話した。
タブレットではアップルが先行し499ドルが中心価格帯だったが、アマゾンは昨年に199ドルのキンドル・ファイアを発売して世界シェア2位に躍り出た。同社は本体価格を抑える一方、タブレットを通じてコンテンツなどの販売を増やし、採算をとる戦略を描いている。
グーグルも同様の考え方に基づいて199ドルの「ネクサス7」を今年7月に発売した。アップルも近く発売するとみられている小型のiPadで価格を抑える可能性が高い。タブレット市場ではアマゾンの参入を機に低価格化の流れが生まれており、日本勢を含む中下位メーカーの戦略にも影響を与えそうだ。
by日経