PC業界がいよいよ動き始めた「脱PC」への歩み

PCは無くなるのか--。

 そんな議論が業界内で頻繁に交わされるようになった。先週から今週にかけて行われた各社の記者会見でも、業界関係者から、PCが置かれた現在の立場や、将来の動向に向けてのコメントが相次いで聞かれた。

 結論からいえば、PCは無くならないだろう。だが、現在の姿のPCの行方を語るならば、市場は明らかに縮小していくことになるのは間違いない。

過去最高の落ち込みをみせたPC
 業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が5月22日に発表した2013年4月のPC出荷実績に、業界関係者の間で激震が走った。

 これによると、4月の国内PCの出荷実績は前年同月比30.8%減の64万9000台となった。6カ月連続での前年割れという状況に加えて、3割減という落ち込みぶりは、2008年4月以降では最大のものとなった。

 Windows 8.1の発表や、インテルの第4世代「Core iプロセッサ」の投入直前という買い控え要素を指摘する声もあるが、いまや新たなOSやCPUが登場しても販売台数は大きく変化しない。むしろ、大きな要素はタブレットへ需要が流れ始めているという点だろう。

 JAITAの発表翌日の23日には、調査会社のMM総研が、国内タブレット端末の出荷状況を発表。これによると、2012年度(2012年4月~2013年3月)の出荷台数は568万台。前年比104.3%増と2倍の成長を記録した。同社が9日に発表していたPC出荷状況調査では、2012年の国内PC出荷は前年比1.6%減の1505万7000台。特に、Windows 8が発売された下期が前年比3.6%減と落ち込みが大きいのが気になる。タブレットは下期に118.0%増の375万台となり、むしろ加速した格好だ。

e0241325_10181430.jpg MM総研では、2013年度のPC出荷は0.9%増の1520万台と微増になると予測。これに対して、タブレットは、21.5%増の690万台と引き続き高い成長が見込まれている。

マイクロソフトも脱PCの動き?
 29日に行われた日本マイクロソフトのSurface Proの発表会見では、同社業務執行役員 Windows本部長の藤本恭史氏が、1つのチャートを示してみせた。

 それは、モバイルコンピューティング市場規模を示すものであった。

 2016年までの全世界の需要予測を表したその表には、ノートPCやデスクトップPCの市場規模は、今後、横ばいで需要が推移するのに対して、スマートフォンおよびタブレットは、今後大きな成長を遂げることが明確に記されており、このチャートをもとに藤本氏は、「今後、マイクロソフトは、モバイル市場にベット(賭ける)する。その姿勢を明確に示したのがWindows 8となる」とし、「PCの定義を変え、トレンドに合わせて姿を変えていく。モバイルを捉えた利用提案へと、進化させていかなくてはならない」と続ける。

 旧来型のデスクトップPCやノートPCの市場のリーダーであったマイクロソフトが、モバイル市場の成長に合わせて、既存のPC以外の領域に強く踏み出すことを宣言した点は見逃せない。
PCメーカーも、PCに囚われない戦略を明確に打ち出している。

 PCで世界最大シェアを誇るヒューレット・パッカードの日本法人である日本ヒューレット・パッカードは、27日、Windows 8搭載ビジネスタブレット「HP ElitePad 900」に、LTEデータ通信モジュールを搭載した製品を追加すると発表した。
 首位ヒューレット・パッカードに肉薄するレノボは、23日に決算を発表。過去最高の売上高と利益、出荷台数を達成した。その原動力となっているのが同社の基本戦略である「プロテクト&アタック」。守る市場と挑戦する市場を切り分け、そこに最適な投資を行っていくというものだが、このなかで、PCはプロテクトに位置づけられ、アタックにはタブレットやスマートフォンなどが含まれる。同社の資料によると、これまではプロテクト領域への投資が過半数を占めていたのだが、第3四半期(2012年10~12月)では、アタック領域への投資比率が初めて50%に達し、今後もこの水準での投資を行っていく姿勢を示している。

 つまり、PC市場で成長を遂げているレノボも、タブレット、スマートフォンに対する投資を増やしていくことを明確化したというわけだ。

 このように、PC主要各社は低迷するPC市場から、成長領域であるタブレットやスマートフォンへのシフトを鮮明に打ち出し始めた。先週から今週にかけての会見で関係者が発したコメントは、まさにそれを裏付けるものだったといえよう。

 PCは無くならないだろう。しかし、PCが大きな転換点を迎えていることは間違いない。


 その会見の席上、日本ヒューレット・パッカード プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史取締役副社長執行役員は、「HP ElitePad 900は、2月の国内発売以来、数10万台規模の商談実績に達している。導入検討台数を積み上げていくと、市場全体で100~150万台規模になり、年間600万台の国内出荷が見込まれる国内タブレット市場の2~3割程度がビジネス用途になるという感触を得ている」とする。

 そして、「PCとタブレットを区別して事業をするのではなく、PCという捉え方を変化させていくことが必要だ。PC+タブレットとして提案していく。伸びている市場はタブレット市場であり、伸びているところで事業をしていくことになる」として、今後は、タブレット事業を加速する姿勢を強調した。
                     byPCオンライン
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by mimiyori-hansinn | 2013-06-05 09:20 | サイエンス/読書
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