ブルーライトカット眼鏡、本当に効くの?

 いまはやりの「ブルーライトカット眼鏡」---売れてますね。今回このコラムを始めるにあたり、「やはり最初の話題はこれを!」というくらいのグッズです。結論から言えば「効果あり」です。が、「効く人がいる」というのが、恐らくみなさんには分かりやすい表現になると思います。

 この眼鏡の売りは、「目が疲れない」ということです。パソコンやスマートフォンのLEDディスプレイからは青い光が多く出ています。この光、ピントがぶれやすいという特徴があり、ボケやにじみ、チラツキ、まぶしさの原因となります。ブルーライトカット眼鏡で青い光を遮ることにより、見ているモノがはっきりと見えて、その結果、目が疲れにくくなるというわけです。

1カ所を見続ける、ドライアイも疲れの原因

 ただ、パソコンなどを見ているときの目の疲れの原因は他にもあります。1つは、画面にずっと目のピントを合わせ続けることによる疲れ、もう1つはドライアイです。

 目は、遠くを見ているときが一番リラックスした状態。「目の疲れを予防するために、時々遠くを見ましょう」というのは、目をリラックスさせるためなのです。物を見ているときには、ピントを合わせるために目の中の筋肉が働いています。一方で、画面をずっと見ていると、目の筋肉が同じ状態を保つために緊張し、目は疲れます。

 パソコンでディスプレイを見て作業をしているとドライアイになります。人は1分間に20回ほどまばたきをしています。これが、パソコンのディスプレイを見ているときには約3分の1の6回にまで減ってしまいます。まばたきは涙を目の表面に広げる大事な動き。まばたきをしなくなると目の表面が乾燥し、その結果、疲れるのです。「目が乾く」のがドライアイだと思っている方も多いのですが、実はドライアイの方の多くは目の疲れを訴えます。ちなみに、パソコンでの作業時間が長くなると起こるドライアイは、市販の目薬では効果が出にくく、眼科での治療が必要な場合があります(これは後日記事にします)。

 パソコンやスマートフォンでの作業とは直接的に関係ないのですが、そもそも、眼鏡が視力に合っていない、眼鏡をかけた方がよいのに使っていない、ということも疲れの原因です。

 眼鏡やコンタクトレンズの度が強すぎる場合、近くを見るために目は余分な緊張を強いられています。この状態がずっと続くと目はかなり疲れます。

 40才前後になって「老眼」が出てきている場合は、老眼鏡をかける、あるいは眼鏡・コンタクトレンズの度数を弱くするということで対処しないと、これまた目が疲れてしまいます。小さい字が見えない、物を離して見るようになるのが老眼だと思いこみ、目の疲れの原因に老眼があると説明してもなかなか納得してくれない患者さんが多いのですが、これは「『老』眼」という呼び方が悪いからでしょうね。

 ……さて、まとめると、パソコンによる目の疲れ対策としては、ブルーライトカット眼鏡をかける、近く(画面)を見続けない、眼精疲労やドライアイ用の目薬を使う、近くを見るのに適切な眼鏡・コンタクトレンズの度数にする、そしてIT機器を使う際の環境を整える(これは後日記事にします)、などが挙げられます。ブルーライトカット眼鏡にするだけで目の疲れが取れる人ももちろんいますが、他の原因があるとブルーライトカット眼鏡をかけるだけでは解決しません。そこで冒頭の「効く人がいる」という説明になるわけです。ただ、この眼鏡はリーズナブルな価格で購入できるものも多く、試してみて損はないのでは? と思います。
実は前からあるブルーライトカット眼鏡

 この眼鏡、まるで新しい製品のように思われていますが、実は昔からあるのです。また、ヒットを飛ばした眼鏡メーカーさんだけが扱っているわけではありません。青い色がまぶしさの原因ということは以前から知られていたため、目の病気がありまぶしさが出やすい患者さんに処方することがあります。あと遠視の方はまぶしがることが多いため、レンズに色を付けるだけではなくブルーライトカットをお薦めすることもあります。日常生活で色付きのサングラス、紫外線カットだけではまぶしさが取れない場合、ブルーライトカット眼鏡を試す価値はあります。パソコン用眼鏡を通常使いにしても問題ありません。

 レンズに度数を入れるとそれなりの価格になるため、近視が強く度数を入れたレンズをブルーライトカットにするかどうか悩む場合、お手持ちの眼鏡に使えるクリップオンタイプのブルーライトカットレンズもあります(写真)。これを使ってみて楽になるなら、そこで初めてブルーライトカットの度つきレンズにするという方法もありでしょう。
とりあえず試してみるのは問題なし

 ブルーライトカットのレンズにもいろいろあります。薄いブラウンの色付きのレンズの方がブルーライトカット率は高いそうですが、色付き眼鏡がかけにくい場合にはクリアータイプもあります。レンズを通しての見え方、また色付きレンズの場合人から見てどうか、ということは、レンズ見本のある眼鏡屋さんでよくご相談ください。

 クリアータイプの場合、レンズ表面の光の反射でブルーライトをカットするために、写真撮影時に眼鏡に反射が出てしまい、うまく撮れないことがあります。つい最近、私は遠近両用眼鏡を新しくしたのですが、反射タイプのブルーライトカットレンズにしたため、プロフィール写真を撮るときにカメラマンさんがかなり苦労していました(記事末尾のプロフィール写真が、そのときのものです)。写真をきちんとスタジオで撮る場合には、眼鏡なしにするか、ブルーライトカット眼鏡でないものにした方が良いようです。

 ブルーライトカット眼鏡がこれだけ話題になる理由は、これまでにないくらいIT機器が増えたということと、また青い光が出るLED照明が主流になりつつあり、ブルーライトによる悪影響というものが注目されているからでしょう。そして「なんとなくIT機器からの光は目に悪いと思っていたが、やはり疲れの原因だった!」というデータが出されたからでしょう。

 目の中に入る光の中で青い光は紫外線にもっとも近い強いエネルギーを持っているため、目の細胞に悪影響があるという報告があります。一方で青い光は体内時計を調節しているため、日中は必要な光であるが、寝る前に浴びるのは良くない、という話もあります。今年初めて「国際ブルーライトシンポジウム」が開催されました(ブルーライト研究会のWebサイトはこちら)。これからいろいろデータの集積、議論が行われ、IT機器を使う場合の指針などが出てくると期待されます。

 パソコンの使用時に目が疲れるようでしたら、とりあえずはブルーライトカット眼鏡を試してみてはいかがでしょうか? とは言うものの、私がパソコンを使う際に使っているメガネは、まだ普通のレンズです。老眼鏡で度を入れなくてはいけないのでどうしようかと思いつつ、そのままなのです。クリニックの若いスタッフが使ってみたいと言うので「安いのでいいわよ、あなたは度なしで大丈夫だし」と某出版社から出ている、本のように売られているメガネをチェックし、880円とは安いなあと見たら、よーく知っている先輩ドクターが監修してました。私が度つきレンズを買おうか悩んでいる間に先輩はメガネを売っていたとは……!

 自分が使っていなくても、メガネをかけていない人にかけさせる戦略に成功したメーカーさんに感心し、ブルーライトが体内時計を調節しているなら時差ボケ解消に使えないかしら、とちょっと本筋とはちがうところが気になったりしています。
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by mimiyori-hansinn | 2013-07-26 21:56 | パソコン・IT
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