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「次世代加速器」誘致の課題 NO2

 宇宙と物質の根源に迫る巨大実験施設「国際リニアコライダー」(ILC)の建設地として、日本が有力視されている。

 ILCは、昨年7月に「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見した欧州合同原子核研究所(CERN)の円型加速器(LHC)の次世代機として、日米欧などの科学者が国際協力による建設を計画している直線型加速器だ。

 計画では東京-横浜間に相当する全長30キロの直線型加速器を地下に建設し、光速近くまで加速した電子と陽電子を正面衝突させる。宇宙誕生のビッグバン直後の高エネルギー状態(約1京度)を再現でき、ヒッグス粒子の先にある「新しい物理」を切り開く成果が期待されるという。

 建設費用は10年間で約8300億円で、その半額程度が立地国の負担となる見通しだ。国内の建設候補地は、岩手県の北上山地と福岡・佐賀県境の脊振(せふり)山地の2カ所で、8月中に一本化される。

 米欧露もそれぞれ候補地を挙げているが、今のところ誘致に積極的なのは日本だけだ。ILC計画を進める国際組織の責任者で英国人のリン・エバンス氏は、6月に東京大学で開催された式典で「私は日本人の力量に常に感銘を受けてきた。日本は非常に信頼されている」と述べた。世界の科学者は、日本政府の誘致表明を待ち望んでいる。

 国内誘致は、ILCの科学的意義や経済波及効果などを冷静に見極めて判断すべきだ。ILCの意義を審議する日本学術委員会の検討委員会では、「他の研究分野の予算が圧迫されないか」といった懐疑的な意見もあがった。

 数千億円の国費が投入されるからには、「予算の裏付け」と「国民の理解」が、誘致する場合の最低条件である。

 一方、ILCが建設されると世界各国から数千人の研究者が参加し、家族を含めて約1万人が暮らす「国際科学都市」が創成されることになる。陸続きの国境を持たない日本が「内側からのグローバル化」を図る千載一遇の機会になるかもしれない。東北が「震災復興の象徴」と位置づけるなど、地域再生のモデルとしても自治体などの期待は大きい。

 グローバル化と地域再生は日本が長く直面してきた課題だ。物理学に革命を起こそうとする巨大実験施設は、日本の変革を促す壮大な社会実験の舞台装置としても機能し、困難な問題の突破口を開いてくれるかもしれない。

 問題は、壮大な計画に見合う気概や創造力を、日本政府が持っているかどうかだ。

 6月に閣議決定した「科学技術政策イノベーション総合戦略」で、政府はiPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療など日本の強みを成長につなげる構想を示した。経済効果が見込める分野が重視された結果、小さくまとまった印象が否めない。科学技術政策の萎縮は、技術や人材の先細りにつながりかねない。

 ILCを誘致するにしても、見送るにしても、新たな分野に挑む覚悟と、日本の将来像を描くスケールの大きな構想力が、政府には求められよう。(
                  by産経新聞

by mimiyori-hansinn | 2013-08-15 09:36
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